サンパウロ通信


2003年6月 「公募主教選挙の決着」

 4日間のブラジル聖公会総会も無事終わった。
 今回の総会では2人の宣教教区主教選出と首座主教選出という大行事があった。既にご報告の通り、今回は該当教区が主教候補を公募し、教区総会でインヂケイション(プレ選挙)をなし、ブラジル聖公会総会で選挙する(二つとも宣教教区で独自に選出権を持たない為)というスケジュールで行われた。
 結果的には2教区ともに公募に応募された方が主教に選出された。
 ブラジリア教区は5名の公募者から、3名が総会にインヂケイションされ、管区総会では他に推薦される方がなくプレ・エレクションどおり、現管区主事が当選された。
 但し、日系人も多い、パラナ州教区主教選挙でも教区総会で、インジケイションされた方以外に他に推薦される方がなく、インヂケイションされた3名の候補者(一人は現役の教区主教、もう一人は他の教区の補佐主教と司祭)の間での混戦となったが結局、サンタマリア教区の補佐主教が新しいパラナ州教区の主教に選出された。これは教区総会のプレ・エレクションの順位を全く覆すものであった。
 この選挙に立候補し、敗れたペロタス教区主教(プレ・エレクションでは一位)の今後の成就につき、直ちに開かれた主教会でも心配が表明されたが、同主教は引き続き今の教区に留まることには、なんら問題ない旨、自ら表明された。また私が個人的に尋ねた同教区の聖職は「神様のお陰で、同主教が私たちの教区に留まることが出来た」と喜びを語っていたことに、同僚として心から安心した。
 今回の選挙はかなり思い切った公募方式をベースにしたものではあったが、「案ずるより生むは安し」の諺どおり、結果としては成功であった信ずる。今後もブラジル聖公会ではこの方式が採用されていくことになると思うが、教区民と聖職の成熟とともに、この方式(通常の教区では応募者と推薦者の間から教区総会で選挙される)がますます最も民主的な主教選挙方式として定着することを祈っている。
 ブラジリア教区主教に現管区総主事が選出された事に伴い、後任人事が主教会で話し合われ、私の教区の教区主事(Christina Takatsu Winnischofer女史)が全会一致で選出された。彼女は平信徒で女性、離婚経験者であり、アングリカン・コムニヨンでも信徒でしかも女性、が管区総主事になることはもちろん初めてであるだけでなく、彼女は日系混血(母親は高津主教の妹で、父親はオーストリア人)であることも特記する事実であろう。