2002年12月 「ブラジル聖公会の分派騒動」 既に聖公会関係のニュース機関によって報道されたことでもあるが、今年10月「ブラジル聖公会」にも分派騒動が起こった。 レシーフェ教区の大聖堂のDeanであったパウロ・ガルシア司祭(大聖堂だけで5人の副牧師と5千人の信徒を擁し、ラテンアメリカ最大の教会と言われていた)が、突然ブラジル聖公会を脱会し、大聖堂を乗っ取った上、大聖堂信徒と5人の司祭と共に「Chrismatic Episcopal Church]、に移った事件である(大聖堂乗っ取りに対してはレシーフェ教区で既に法的措置は取っているが解決に10年は掛かる、とも言われている。又、大聖堂の5000人の信徒の内、約200−300人のみが聖公会に留まった)。 大聖堂は日曜日には朝2回、夜1回、計3回の礼拝が持たれ、各礼拝にはそれぞれ1000−1200人が出席する以外、毎日礼拝が持たれる大教会であった。 レシーフェ教区は30年前には3教会しかなかった宣教教区であったが、礼拝にはほとんど祈祷書が使用されず、そのCharismatic傾向と福音主義傾向で急成長した教区であった(現在41人の司祭と55の教会を要していた)。 レシーフェ教区はその急成長から、牧師補充を他教派聖職に求め、多くの牧師がプレスビテリアン教会等の福音主義教会出身で、ブラジル聖公会の伝統的な他教区からは従来からその「行き過ぎた」(?)福音主義傾向と牧師養成制度が問題視されていたことも事実である。 但し、今回の分派騒ぎは教区主教との確執以外には、ガルシア司祭が「決別宣言」にあげた教義的な論点(新カンタベリー大主教の同性愛者の聖職按手の容認態度、に代表される聖公会の同性愛者へのリベラルな態度、教区主教が最近教区で配布した補助祈祷書に入っていた動物の祝福等)が真の問題点とは思えず、単なる言い訳に過ぎないと思われる。 同司祭は既にCharismatic Episcopal Church のブラジル主教に指名され、来年2月には主教按手が北米の同教会の3人の主教の来臨を待って行われると報道されているので、定年を5年後に控えた同司祭の権力の保持への野望と主教職への野心、と見る向きがブラジル聖公会では支配的である。 ただ、このような事件を生んだブラジル聖公会自体への自省も求められよう。個人的には素晴らしい能力とカリズマ保有し、ラテンアメリカ一の大教会を築き上げた同司祭も最後は人の子、という思いを持たざるを得ず、神学校時代の同級生として淋しい思いで居る今日この頃である。 ブラジルには同教会以外に北米の聖公会分派の |