サンパウロ通信


2002年5月 新しい門出を前にして

 海外の日系商工会議所は本来の商工会議所業務に加え、経団連的な活動も合わさる。

 官との連携プレーが要求され、各省から出向している領事との付き合いも頻繁である。

 それにもまして会員企業300社のトップとの付き合いは骨が折れるが、得がたい経験でもある。

 特にデイリーのコンタクトがある常任理事の方々は日本を代表する企業の現法の社長であり、日本本社の常務や取締役も兼任されている方もおられ、人物としても優れた方々が多く学ぶことも多い。

 傲慢な私ですら、そのような優秀な方々に接して、自分の微力さを痛感させられると共に、上には上があると言う意識を否応なしに持たされる。

 事務局長に就任して僅か2年。

 ようやくトップの名前と顔が一致するようになり、仕事への慣れからストレスも大幅に減少した今、後、3週間で退任する。

 60歳を過ぎて得た再就職でもあり、一般社会でプロとしても充分とはいかなくても、まだまだ、なんとか通用する自負が出来ていただけに、未練がないと言うと嘘になる。もちろん、現在は新しい任務への神の召しを充分自覚しているし、減収はもちろん意識外である。

 かなり傲慢な意識である事を承知の上で言えば、実社会で得た厳しい、得がたい経験を教区運営にも生かしたいと考えている。

 選出プロセスで得た感触では、小生の銀行役員や会議所の事務局長としての実社会での経験が、同僚や教区民から期待されているようにも思う。

 しかし、「使徒的奉仕職と信仰の教えにおける指導者」という局面では慄く思いがする。

 ただ聖霊様のお導きを祈り、全てをお任せしてまいりたい。

 按手と就任の暁にはどんなことがあっても「主教は教区会とともにエピスコペーを分かち合う」と鉄則を心に銘記し、忘れないよう心したい。