古田島さん、水上さん、村上さん、伊藤さん
雑文にご感想を寄せて頂き喜んでいます。
私も「梅干」の好き嫌いは古田島さんの言われるDNAではないか、と思っています。
それはともかく、同じ文をBCCで、北米の合弁会社の社長をしていた友人に送ったところ、次のような可笑しい話を寄せてくれました。
十数年前に京都で米国人達とホテルに泊まり、朝食は和食レストランに誘いました。
テーブルに壷に入った真っ赤に染まった大きな梅干があり、前夜少し飲み過ぎたので、小生は朝食が出てくる前にお茶を飲みながら壷から大きいのを楊枝で刺して口の中に放り込んで美味しく食べ、種は紙ナプキンでそっと出しました。
それを見て、米国人の中で初めて日本に来た若い男が早速楊枝で突き刺して小生と同じ様に口へ放り込みましたが、途端に目を白黒させて「鳩にマメ鉄砲」の様な顔で、その後あとあとまで、「ミスター・Sはひどい人だ」、と非難されました。
小生が余りに美味しそうに梅干を食べたのを見て、「赤い色で甘いモノ」と一方的に思い込んで口に入れたので、期待に反した上に、米国人には経験したことの無い酸っぱい味だったので拷問に会った様な顔となったのでした。
米国人は子供の時から、「一旦口に入れたものは人前で出したり、吐き出してはいけない」と厳しくマナーを仕込まれているので必死の思いで種だけ出したのでした。
実は私もこれと似た経験があります。
銀行で公社への大型融資を専門に担当していたときのことです。
公社の偉いさんをブラジリアの日本料理店に招待したときのことです。立派な船形の器に盛った豪華な刺身がテーブルに置かれました。「さあ、どうぞ」とまずそのブラジル人の偉いさんに勧めたところ、その方は刺身の端に丸い団子のように添えられていた「練りワサビ」をあっという間に全部を口に入れてしまったのです。こちらが注意する間もない早業でした。ブラジルではパンにつける練りチーズが、全く同じような緑の色をしており、パーティーなどの前菜にパンの上に緑や黄色や紫の練りチーズを載せたものががよく出てきます。恐らく、いや間違いなくその種の食べ物と勘違いしてその方はご丁寧にも山葵の団子だけを口に入れたのでした。その方の叔父は元大臣という名家の出身で、さすがに吐き出すことはせず、タラタラ汗を流し、さりげなく水を急いで飲んでおられました。いや、驚きました。笑うわけにはいかず、その後、何を話したのか、私も覚えがありませんでした。これが縁となり、極めて親しい友人となりましたが、何時までたっても「伊東は酷い男だ」と公社の人たちに笑いながら言いふらしました。後で聞いたところ、その時は何を食べても舌が麻痺しており味は全く判らなかったそうです。今でも可笑しく懐かしく思い出しています。
サンパウロ 伊東 |