サンパウロから650キロ奥地に入った所に、聖公会に関連したキブツが二つある。一つは当地の日系コムニティーにも有名な弓場農場。弓場農場は故弓場繁司祭の兄上が指導者として武者小路実篤氏の「新しき村」に触発されて80年前にアリアンサ村(契約の地)に作られた。多くの青年たちが農場から出て行ったが、現在でも100人近い人たちが暮らしている。ほとんど人が一応聖公会員であるが、農場のモットーが「祈り、労働、芸術」である以外は、冠婚葬祭を除き、農場での礼拝はない。この弓場農場から40年前に分離したのが新生農場である。そしてそのリダーの一人となったのが森 忍司祭の父上(森譲主教の弟)であった。 新生農場の場合、若者たちの流失は多く、現在は30人近くの高齢者が中心となって、共同生活を行っている。 この農場は森司祭が指導者で、毎週農場で聖餐式が行われている。礼拝に参加するのは10−15人のみであるが、アングリカン・コミュニティーとして確立している。戦前の日本の田舎を思わせる農場では養鶏、と果物の栽培で生計を立てておられるが、財政的にはかなり苦しい。しかし、その生活は本当に質素ではあるが、穏やかなものである。
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